「ノコギリって意外と難しいんだ・・・」
「真っすぐ切れない・・・不器用なのかな」
もしそう思ったのなら、まったく問題ありません。
というのも、ノコギリでいきなり真っすぐ切るのは至難の業です。
大工の修業時代に親方から
「ノコギリでこの角材真っすぐ切ってみぃ、真っすぐやぞ!」
そのときはいきなりだったのですが、まっすぐなんて楽勝!と思い、切り終わりに親方に言われたことは
親方「なんやこの切り口は!木目が段になってるぞ!」
指でなぞってみると、少し段になっていました。
あのときは、真っすぐ切れなかったことに驚いたと同時に、ノコギリは難しいものなんだと実感したときでもありました。
木工は、ノミやカンナ使いより、いかにノコギリをつかいこなすかが重要なんだと今でも思っています。
というのもノコギリで線ピッタリに切ろうと思って、切りすぎたり、かといって線より大きめに切る分だけカンナがけをする必要が出てくるためです。
では、ノコギリで真っすぐ切るためにはどうしたらいいのか、それにはいくつかのコツがあるので順番に説明していきたいと思いますね、
まずは・・・
ノコギリの切り始めのコツ
ノコギリが、左右にぶれないよう指でノコギリ刃をおさえつつ位置を調整していきます。
オニャカタ
ノコギリで、切っていくときの心構えと4つのコツ
その①ノコギリは、切るのではなく引く
日本のノコギリは引くときに、切れるようになっており、力いっぱい切ってもそれは無駄な体力を使うだけになり
汗でびっしょりになってしまいます。
なので『切る』というよりは『引く』ことを意識しましょう。
そして無駄な力を入れる必要はありません。
その②目線と姿勢は、真っすぐか確認する
せっかくかいた正確な線も、目線と体勢が真っすぐでなければ、キレイに切ることはかなり難しくなってきます。
というのもノコギリを切る動作は、腕の前後運動なので、線にたいして正面に立つことが重要になってきます。
その③ノコギリは基本的に両手で切るモノだと心構えする!
意外かもしれませんが、大工の世界では、基本的にノコギリは両手を使って切る道具です。
今では、機械が正確にカットしたものを組み立てるのが、大工の仕事になっていますが、一昔前までは機械ではなく
人の手で切っていたために、多くの木材を切ること、また正確に切る必要があり、両手をつかうことは必須でした。
両手なので、軸がズレにくい(真っすぐ切りやすい)
片手に比べれば、疲れにくい(持久力)
片手に比べて、早く切ることができる(両手で引く力量)
いまでは製材(機械でキレイにカットされた木)されたものが多いので、両手持ちで切ることはほとんどなくなってきましたが
やはり両手で切れる状態なら、両手を使うことで疲れにくくなるし、綺麗に早く切れるメリットがあるので活用したいところ
その④ノコギリを切るときは、振り幅は、大きく!
ノコギリを小刻みに動かすのでは、腕が疲れてしまうので、できるだけノコギリの刃全体を使うようにして切っていくのがベスト
これはノコギリの刃が一部分だけ、切れなくなってくるといったこと防ぎ、ノコギリ刃交換の長持ちさせる方法の1つでもあるので
ノコギリを切るときは、全体の刃を使うようにして、切っていこう!
その⑤作業台より、枕木(小さい作業馬)を使うと切りやすい
これは人によるのですが、やはり木材が動かないように体重をかけておさえながら切るとなると
固定された作業台じゃない限り、とても切りにくいことになります。
また作業台が高いと、線をのぞき込むときや線通り切れているか、切りながら確認することが難しく、前のめりになり体勢が不安定になってしまいます。
これを防ぐためにも、安定してまっすぐ切るには、なるべく低い位置できることが重要です。
- ノコギリは切るのではなく、引く
- 線に対して、目線と体勢は真っすぐにする
- ノコギリは基本的に両手で切るもの、両手で切れる状況なら両手を使おう!
- ノコギリの刃全体を使うように、大きく動かして切る
- 作業台より、枕木を使うと切りやすい
この5つを分かって実践するのと、そうでないときの、仕上がりの違いは大きいです。
ではこの5つのポイントをおさえたうえで、最後は切り方の基本です!
ノコギリの切り方
(※わかりやすいように数字をかきました。)
まず1の面を切っていくときに、4の面もズレていないか確認しつつ1と4の間に、少しだけ切れ目を入れます。
1の面を、真っすぐ、線通りに切れ目を入れます。
すると・・・
2の面に、ノコギリの切れ目が見えるので、その切れ目から切り始めて
2の面も、真っすぐ線通りに切れ目を入れます。
1と2の面を、ナナメにしてある程度、切ったら3の面にできた切れ目から切り始める。
といった手順を繰り返していくのが切り方になります。
4つの面まで切らないと木材のバリがでてきたり、
パキッと変な方向に折れてしまいますので、できる限り4本目まで綺麗に切れ目をいれるのがベストです。
といってもこの切り方も参考程度にして、一番は最初にいった5つのコツを実践することが大事です。
以上で切り方の説明は終わって、ここからは木材の角について・・・
2x4材は、角が丸いので、回し墨が難しい
国産の木材(垂木や桟木といった木材)は角がとがったままですが、2x4材などの北米産の材料は角が丸くなっています。
これは角の面取りをしなくてすむので、とても便利なのですが、これが回し墨ではデメリットになってしまいます。
というのも角がないので、線が見にくいという点です。
これは、真上から少し前にのぞき込むように、見て線をかくしかありません。
ノコギリの選び方
そして、ノコギリも色々な種類がありますが、基本的に使うノコギリは限られているので
どういったところで使うのか、なんでこのカタチなのか
これも知ることで、ノコギリを真っすぐ切るためや綺麗に切るためのポイントになってくるので、さらっと紹介したいと思います。
オススメするノコギリ
ノコギリには色々な種類がある!まずは両刃ノコギリ
まず種類として1つだけ知ってほしいのは両刃ノコギリです。
この両刃ノコギリには両面に刃がついています。
なんでノコギリの両方に刃がついてるの?
マエソン
オニャカタ
両刃のカタチをよく見てみる
もう片方は・・・
マエソン
オニャカタ
両刃のなまえ
よこびき
たてびき
木材をタテに切るか、ヨコに切るかの違いですが、これは木の年輪を呼ばれる筋(木目)があり、その筋を綺麗に切れるように工夫された刃のカタチになっています。
ここまで説明したけど縦挽き(たてびき)というのは、ほとんど使わない!
現代の大工さんは、プレカット(工場から木がカットされて組み立てる)と呼ばれるものが主流になっており
縦びきを使う出番は極端に減り、限られた人しか使わなくなりました。
またDIY日曜大工においても縦びきというのはおもに継手(つぎて)縦方向につなぐをつくるときなど
DIYハードユーザー向けとも言えます。
継手(つぎて)縦方向につなぐとはこのような感じ
金輪継ぎ(かなわつぎ)と呼ばれる継ぎ方になりますが、たて方向につないであること
木の先(木口)を、切るときにたてびきをつかいます。
たてびきの場合、切り始めはスムーズに切れないですが、切り進めていくとスムーズに切れるようになります。
コンパネや合板をノコギリで真っすぐ切る方法は?
コンパネ=ぞくにいう合板は、木材の向きを互い違いに重ねているので、たてびき、よこびきの概念はありません。
また合板は、丸ノコを使用しないとキレイに真っすぐ切るのはとても難しいです。
やるとしたら上記で説明した枕木や角材の上にのせて、よこびきで切っていきましょう。(骨の折れる作業)
もちろん、丸ノコを使用するのがベストですよ・・・
オススメするノコギリ
ゼットソー
このゼットソーは「たてびき」、「よこびき」、「ななめびき」の3方向から切れるマルチなノコギリになっています。
刃の形状は、どちらかというと、よこびきよりの刃のカタチをしているので使用頻度の低いたてびきを考えるとオールマイティにつかえるノコギリになっています。
今では多くの大工が重宝しているノコギリになっています。
ノコギリではなくゼットソー(商品名)でいわれるほどです。
オニャカタ
バクマソー両刃ノコギリ
たてびきとよこびきに分かれている、両刃ノコギリ
持ち手は竹素材が多く使われているノコギリですが、これは持ち手がゴムになっており滑りにくいため、たてびきなどでは力を入れることが多いので
すべり止めとしても力も入れやすく扱いやすいノコギリです。
両刃ノコギリが欲しいときは、このノコギリをオススメします。